野生ランへの思い2

  • 2022年4月5日
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「牧野記念庭園記念館」での2ヶ月半にわたる企画展も、記念館では記録的な4500人ほどの見学者を迎え無事終了しました。
併せて多くの方々の後押しを得てクラウドファウンディングによる画集作成も目途がつき、制作に取りかかっています。制作を始めて強く思うのは当時40年前と現在の情報の在り方です。

当時の執筆プロセスを思い出してみて

当時は編集の羽根井良江さんが全国(主に愛好家や生物の教師など)から、野生ランに関する情報を集め、入手すると前川先生のところに届け、直ぐに私が先生の自宅に赴き、届いたランを受け取って画に仕上げるという作業から始まりました。
そのため生態的な環境は解らずに描くことが多かったのです。

そのうち「実際に現場で描けるか?」との問合せに勿論ですと快諾し、情報が有る度に自生する現地へ飛ぶことになりました。
5月に雪降る北海道で描いたり、富山までとんぼ返りで描きに行ったりとかなり強行なこともありました。
ただどうしても強行で行った場合思うように描ききれなかった記憶があります。そのうち小笠原や南西諸島に出向くことが多くなり、その場合は往復1週間程度の旅になります。

自分の足で野生ランを探す

     

小笠原では母島で1週間クリスマスの頃、毎日民宿から片道2時間の距離を歩き数種類の画を描きましたが、最後に残ったムニンヤツシロランの情報は「桑の木山にある」だけでした。
1週間ほど通って最後の日、朽ちた大木の脇の枯れ葉の中にこの小さなランを見つけたときは大喜びで帰りの船の中で描いたものです。
屋久島では割合情報が詳しく多く、作業も進んだのですが八重山では情報量が少なく、探しているランが咲きそうだとの情報で東京から飛んでも、1週間の期間中に咲かなかったり、逆に既に終わってしまっていたりすると、作業は翌年の花期になります。
そんなことで特に八重山の野生ランを描く作業は遅々として進まず、「自分で探さないと終わらないな」と言うことでこれが移住のきっかけになりました。

ただ、現在までに2度ほど大病を患い自由に山の中を探索することが出来なくなり、ヤエヤマの野生ランを全て描くという思いは途中で断念せざるを得なくなりました。
現在、今回の企画展で画集を作るきっかけになり、全ての野生ランを網羅することは出来ませんでしたが、制作を始めるにあたりwebサイトで情報を集める事から始めました。
驚いたのは写真を含め全ての野生ランの情報がサイト内に確認することが出来ます。マニアや専門家、国立博物館など到る処に情報が溢れています。もし、今なら数年で国内の野生ランを全て描くことが出来るか?と思うような情報量です。

特に野生ラン愛好家の中で「幻の野生ラン」の筆頭にあげられる屋久島のヒメクリソランは、私達が株は確認しているものの40年間1度も花を見られていないランで、国内のサイトにも花の写真はありません。ところが何と海外のサイトに数十点の写真が掲載されていました。

今回の画集にはそんな情報も活用して、より濃い中身にして纏めたいと考えています。監修を元琉球大学教授:横田昌嗣博士に依頼しました。西表島の自然保護条例の制定や、野生ラン調査に同行したり、南西諸島をフィールドの中心として退官するまで積極的にフィールドに出ていた先生で、現在南西諸島の植物研究の第一人者です。8月を目標に画集をまとめ上げるつもりで日夜頑張っています。

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