苗の選び方

パッションは成長が早い植物としても知られています。
日本国内の場合は栽培適期が5月~10月になります。(気温・環境等により変わります)
そのため、小さい苗を購入した場合、収穫期までに成長できない場合もあります。

販売店に並んでいる苗は条件の良い管理栽培から出荷されたばかりの物でいわゆる 「温室育ち」です。急激な直射日光に当たると葉の一部が白く焼けることがあります。

また、最低気温が20℃以下の時期には一時的に成長が止まる事もありますが6月中旬ぐらいになると勢いよくまた成長を始めます。そのため、夏の収穫&グリーンカーテンなどを目的として育てる場合は、出来るだけ大きな苗を選んでください。

蔓性の植物のため根張りや茎の太いものはかなり大きく長く成長します。
選ぶコツは根元が太くて下部(20cm以上)は必ず一本立ちの丈夫な苗を選びましょう。

植え付けに必要なもの

  • 植え付け容器

パッションは浅根性で非常に根張りが多い植物です。
そのため、植え付け容器はできるだけ大きなものを選びましょう。
丸鉢の場合は径30cm以上、一般的な市販のプランターの場合は1鉢1本植えが基本となります。大きめの発布スチロールの箱も使用できます。

  • 用土

プランターなどに植え付ける時は、排水が良くなるように容器の底に団粒構造の用土を10%程度敷きつめ、その上に腐食質の多い用土を使いましょう。市販のプランター用土でも構いませんが、その場合は腐葉土を補うと良いでしょう。土壌のPhは余り気にしなくても大丈夫です。

  • 肥料

プランターや鉢の場合は、植え付け時に元肥として油粕をベースとした配合肥料を根に直接当たらない場所に埋めます。量は各々の指定量で構いません。
植え付け後、新しい巻き蔓が伸び始めたら、窒素分の多い肥料を与えてください。
ただし、窒素分が多く肥料が効きすぎると葉ばかり伸びて花芽が付かない事がよくあります。
そのため、元肥としての肥料は緩効性肥料で肥効が2か月程度のものを選ぶと良いでしょう。

植え付け方

プランター(容器)植えの場合

  1. 容器の底には排水を良くするための団粒構造の用土を使い、根鉢の表面が1cmほど隠れるような深さに植える。
  2. できるだけ根から離れた位置に元肥を埋める。
  3. 根際にネットに届く長さの添え棒を挿す。添え棒はフラツカナイようにしっかりと固定する。
  4. 根元から20cm程の所をビニタイ等で添え棒に縛る。この際、添え棒側はキツく、植物側は緩めに縛る。

直植え(土植え)の場合

  1. 植え付ける2週間ほど前に苦土石灰と肥料を入れておく。
  2. 肥料を施した穴に土を入れ、根鉢が肥料に直接触れないようにする。
  3. 根鉢の表面が地面よりやや高くなるように植える。
  4. プランターと同様、添え木とビニタイで支える。
  5. その後、径が30cm程のすり鉢状の形になるように周りに土を盛る。

POINT

栽培場所は北風があたらず日光の良く当たる場所で風通しが良ければ申し分ありませんが、西日や日陰も成長します。
条件が良いと夏の間に5m以上伸びる事もあります。
テラスの日よけ(グリーンカーテン)としても多用されますが、狭い場所では伸びすぎて蔓の始末に困る場合が出てきますので注意して栽培してください。
他の樹木などに絡ませて成長させると、勢いが良すぎて樹木を弱らせることがあるので、できるだけネットや手すりなどに這わせる方が管理もしやすくおすすめです。

栽培管理

  • 生育適温は20℃~30℃前後。20℃を超えると勢いよく伸び始めるが、35℃以上の高温が続くと成長が止まる場合も多い。
  • プランターや鉢の場合、土の表面が乾いたら鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水を与える。
  • 伸びた蔓を扇状に広げながら固定する。
  • 主幹は根元から30cmは1本立ちで仕立てる。
  • 花芽が付くまでは2週間に1回、配合肥料を与える。
  • パッションは病害虫が少ない事でも知られていますが、乾燥期などに風通しがわるくなるとカイガラムシが発生します。
    カイガラムシは急速に増えるので早めに除去してください。カイガラムシを発生させないためには枝が密植しないようにしたり、まめに枯枝を除去することも必要です。

パッションは成長中に風などでフラつくと伸びが著しく悪くなってしまいます。
そのためネットなどに蔓がしっかりと巻きつくまではビニタイなどで枝がフラつかないように10~20cmおきに固定してください。
蔓を扇状に広げていくと、短期間で蔓を拡げる事ができるのでおすすめです。蔓が巻きつくとビニタイより強靭に固定されるので、風などでフラつかず順調に視聴していきます。

主幹は根元から30cm以内は1本立ちで仕立てます。根際や30cm以内にできた芽は早いうちに掻きとってください。(根元から複数に分枝してしまうと、養分の吸収や株の発育が分散してしまい、丈夫な根が張りません。
主枝が伸びてきたらネットのバランスを見て誘引・剪定sていきます。主枝から出る新しい側枝(孫枝)側に花が多くつくので、孫枝は収穫まで絶対に選定しないように注意しましょう。最初の内は水平に誘引していきますが、主幹から1~1.5m程度で植え方向に向きを変えさせます。
これから先は自分の蒔き蔓の力で這い上がっていくので誘引する必要はないでしょう。

直植えの場合は根が肥料に届き、温度が上がってくると急速に伸び始めます。
また、多湿の場合フザリウムによる立ち枯れがおきることがあります。立ち枯れの原因は殆どの場合、根の過湿状態によるものなので、土壌の湿度が多いところは植え付け時に30cm程度の高畝にしましょう。

POINT

毎日の作業として巻き蔓をネットに引っかける作業をつづけましょう。伸び始めた蒔き蔓の先端部が鈎状になっている部分をネットに引っかけると、次の日にはしっかりと巻きついてくれます。ねっとから外側へはみだすような側枝はこの方法でネットに這わせていくと良いでしょう。

葉が予定の広さに展開したら窒素分の多い肥料を止め、リン酸分の多い肥料に切り替えましょう。リン酸肥料は効き目が遅いものが多いので、新しい枝についた葉の付け根に、蕾(三角形の新芽)が見え始めたら収穫までの間、2週間に1回の割合で与えてください。

栽培管理(開花期)

花芽は側枝から着くと言われていますが、主枝も1m以上伸びると花芽を着けるようになります。
早く実を実らせたい場合は主枝の花に授粉させても構いませんが、その場合側枝の出がやや遅くなります。

花芽は新しく伸びた1本の側枝に25個程度着きます。
最初に着けた芽を含め5芽程度と終盤の5芽程度は授粉しても着果しにくいようです。

花は1日花で、開花は周期的に花数の増減を繰り返しながら2か月ほど咲き続けます。

雄しべに大量についた花粉を、必ず3本の雌しべの先端にすべて付けます。
これは筆でも指でも構いません。ただし、屋外の場合、3~4時間以内に雨が降るようであれば、花粉が流れるので授粉は行わない方が良いでしょう。

原産地では人工授粉をしなくても、大型昆虫(クマンバリより大きいサイズ)が授粉をしてくれるため、かなり高い樹上でもたくさんの黄色いパッションが実をつけてくれます。
残念ながら、ミツバチは花粉を全てなめとる為、パッションにとっては大害虫の一種です。

  • 赤紫玉の場合
    開花時間帯:朝~夕方
    赤玉は自家受粉で良く生るといわれていますが、人工授粉で別株から花粉を授粉したほうがたくさんの良い実が採れます。
  • 黄玉の場合
    開花時間帯:午後2時以降~夕方
    黄玉種は着果しにくいので、必ず人工授粉するようにします。

POINT

授粉は同じ花でも着きますが確率が低く、別の花の花粉、できれば別の株の花粉の方が着果・実のできも良くなります。そのため出来るだけ2株以上を栽培しましょう。

授粉が成功すると翌日には雌しべの基部の子房が緑色になり艶を帯びてきます。
失敗の場合は艶が無く、やや黄色味を帯びてきます。
慣れてくると一晩で授粉の正否が解る!これがパッションを育てる最大の楽しみの一つです。
授粉が成功しなかった花柄は2~3日以内に摘み取ってください。

授粉が上手くいくとたくさんの小さな果実が枝から下がります。
ただし、着けすぎると実が小さくなりますし、植物が体力以上の実をつけると肥大の途中で自分で落としてしまいます。

大きな実を得るには一枝に5個程度を残しあとは摘果して下さい。

栽培管理(果実肥大期)

授粉成功後、約1か月が果実が大きくなる期間(果実肥大期)その後1か月かけて色味が付き熟していきます。
収穫までは夏場だと授粉から約2か月、気温が下がると収穫までの期間が長くなります。
この間に大きくなった果実が急に皺になり落ちてしまう事があります。容器植えの場合は水切れが、直植えの場合はたくさん着果しすぎた場合この症状が起きます。
この期間の対策として、適切な水分管理とリン酸肥料管理の調整が大切になってきます。

一般的にパッションフルーツは完熟して落果する前の1~2週間で甘さと香りがのります。そのため、できるだけ完熟して自然落果するまで待つ事が美味しい果実を収穫する秘訣です。

赤紫玉種では早い時期から色づきますが、黄玉種は完熟で落果する1週間程前に色づき始めます。
条件が良く、夏前に授粉ができると秋には花と果実を一緒に楽しむ事もできます。

収穫後と冬越し

パッションフルーツは中南米原産の果物で、特に黄玉種は寒さに強くなく露地では枯れてしまいます。
赤紫玉種の場合は割合耐寒性がありますが、直接霜が当たるような場所では葉がすべて枯れてしまうので屋内での冬越しになります。
そのため、九州南部以北での屋外での越冬は難しいと思います。
最低気温が10℃を保てる環境であれば冬越しも可能です。北風が当たらなく、南向きの良く日の当たる壁際などでは、関東地方の温暖な地域で冬越しをしている例もあります。
その場合、やや長め(1.5m程度)に残して切り詰め乾きすぎないようにして冬越しさせます。
加温設備(温室等)がある場合は冬越しも可能です。その場合、最低気温を10℃以上に保ち、極端な感想を避けましょう。

降霜の後の黄玉種の様子です