パッションフルーツの歴史

世界中で愛されている植物パッシフローラ(パッションフルーツ)

その理由の一つでもある、興味深い歴史についてご紹介します

1553年

 

パッシフローラが歴史上初めて文献に現れたのはCieza de Leonが残した書籍である。
彼はその中にこう記している

私はペルーの原住民の村で「granadilla(小さなザクロ)」と呼ばれているとても美しく良い香りの果物に出会った。

 

 

1569年

 

Nicolas Monardesというスペイン人医師が「西インド諸島からもたらされた有用医薬(植物・ハーブ)」という書籍を出版する。そしてその二版にgranadillaの研究論文が掲載された

ペルーの山中で見た植物は「granadilla」と呼ばれていた、その植物はツタの様にそこら中に絡みついていた。そのツタの中に美しく咲き誇る花々やぶら下がっている果実のある風景はとても美しいものだった。その花は白いバラの様に見えたが、花形はまるで「Passion of Jesus Chris(キリストの受難)」を象徴しているかと思う様な形をしていた。

※アッシジのフランチェスコ(1181年〜1226年)が、「キリストが磔になった十字架の上に美しく咲く花」を夢に見たと話し、宣教師がその後このパッシフローラを見て、「この花こそ十字架の上に咲く花だ」と信じ伝えてきた。という説もある。

 

 

1590年

 

スペインの修道士Jose De Acostaが著書 Historia Naturally Moral de las Indiasの中でgranadillaについてこう語っている。

このGranadillaという花は称賛に値する特徴を持ち揃えている。
キリスト磔のシーンに出てくる、磔にした釘・十字架・棘の冠・鞭そしてキリストの傷を思わせるのである。これらのパーツがそれぞれ同化する事なく一つの花の中に存在しているのである。
この花を観察し、特徴を探すのにあたり、受難のシーンを思い描いては私の信仰心も少々痛んだのものだ。

 

 

 

16世紀〜17世紀

 

この間、多くの国でパッシフローラは多種多様な専門家によって研究され、新しい品種の発見と記録が残されてきた。その中でも医療関係の専門家の文献が多いのは、この植物が医薬ハーブとして特にヨーロッパなどで使用されていたからだと思われる。
また修道士などによる「キリストの受難」としてのシンボルとしても使われる事もありローマ教皇パウルス5世への献上品のテキスタイルの模様などとしても使われていた。

この時代のパッシフローラの植物画は、キリストの受難とのつながりを強く感じさせるものが多く、またその解釈の仕方も様々である。

     

 

 

1737年

 

生物分類法のシステムを考案したりんね(Linnaeus)により、宗教的そして神秘的な意味合いを込めてこの植物を正式に「Passiflora」と名付けた。

 

 

 

現在 そして 日本の歴史上では

 

日本の歴史上では秀吉時代に持ち込まれたとも、享保5年(1720年)が初渡来だとも言われている。
1800年ごろには日本でも冬越しできる様になり、その風変わりな花は人々の興味をそそりたくさんの絵画が残されている。
「梅園百花画譜」の中でもその絵を確認することができる。

そして現在まで、世界中で園芸種やハイブリット種を含め600種を超える品種が確認されている。
違う株の花粉を混ぜ合わせる事によって、簡単にハイブリット種を作る事ができるためその数は現在も増え続けている。

 

参考文献:Passiflora Passion flowers of the World by Torsten Ulmer & Jhon M. MacDoudgal

 

名前の由来  Origin

 

パッシフローラはこの様な歴史からラテン語「Passi : キリストの受難」から由来した「Passiflora」と名付けられたと言われています。日本では花形が時計の長針や秒針、文字盤などにも見える事から「時計草」と呼ばれています。

パッシフローラの果実が実る品種を総称して「パッションフルーツ」と呼ばれています。正確には品種によって果実の色・香り・味が変わってきます。他にも下記の様に、世界中の国々で様々な呼び名を持っています。

 

ブラジル :Malakuja(マラクジャ)
ベネズエラ:Parchita(パルチータ)
台湾・中国:百香果(バイシャンコウ)
ハ ワ イ:Lilikoi(リリコイ)
南アフリカ:Guavadilla(黄玉)Granadilla(紫玉)
コロンビア:Maracuya(黄玉)Gulupa(紫玉)
ジャマイカ:Sweet Cup
ニカラグア:Calala
プエルトリコ:Parcha
ドミニカ :Chinola

 

私はこう考える

「キリストの受難」という語源の Passiflora は辞書などでは「情熱」と訳されることが多々あります。しかし、本来の意味は「受難」で、キリストの磔(はりつけ)のシーンと花の形状の相似性から、そう呼ばれたという諸説があります。
3つに別れた雌しべ・5本の雄しべ・放射線状に拡がる糸状の副花冠・5枚の花弁・5枚の萼片
「3つに別れた雌しべは人の形、または十字架を表す」と記録されている説があります。実際に栽培してみると、雌しべが4本のものが時折出てきます。その姿はまさに十字架そのものに見えますが、とても希なのでこの雌しべは十字架に磔られたキリストであるとみるのが妥当でしょう。
5本の雄しべは打たれた釘、または傷を表すとされています。糸状の副花冠は棘の冠とされてい明日が、多くの絵画にみられるキリストの頭部から差し込んでくる、輝く光輪とも見えます。パッシフローラの種類の多くは、5枚の花弁と5枚の萼片が非常に類似しており、全て花弁にも見えます。これはキリストの弟子の数(天からの使徒という説ですが、一般的には人と云われており?が付きます)等諸説あります。
国内では、なぜか「受難」「情熱」と認知されているが、そこを深く掘り下げた田中千鶴香(実務翻訳者)のブログ「意味がいっぱい」が大変に興味深い。

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